日本が誇る世界最速バイク、その名は隼。
全くあきれる位のモンスターマシンを市販してしまうのだから
SUZUKIって凄いメーカーですよね。ギネス公認最速市販車!!
【HAYABUSA】
今回はこのモンスターマシンを単色で塗り替えるオーダーです。
単色だからって甘く考えていけません!ご注文のペイント色は究極のイエロー。
黄色はただでさえ隠ぺい力(染まり)の悪い色ですが、今回のオーダーはその中でも
とことん、色の冴え/発色/深みを追求した内容です。
色を作るのもそうですが、塗装するのも一筋縄ではいかないのが容易に想像できます。
ましては、この巨体!
ドーン!
どうですか!これ?
ひとつ一つのパーツも大きいし、ネイキッドの3倍以上のボリュウムはありますよ。
この先の作業内容を考えると軽く目まいがしてきます。
まず、先に持ち込まれたペイント用タンクのヘコミ修正と
クリアーコートされたデカール(ステッカー)を取り除き、下地を作り直しました。
クリアーコートされていないデカールは手で剥がし、
パニアケース(リアボックス)はさらに分解していきます。
職業病の腱鞘炎が酷くてサポーターが手放せません。。。(涙)
片側のパニアケースにはダメージがあるのでこれも修理します。
右の画像では塗装表面にうっすらとクラック(ヒビ)が確認できます、こう言う場合
土台のFRPまで損傷が達している場合がほとんどなので↓
ファイバーを貼り直す為にFRP部分までサンディングで削り落とします。
ガラス繊維が飛散してチクチク痛くなるので完全防備で挑みます(笑)
ヒビの入っていた箇所はやはりFRPまでダメージが達していました。
FRP樹脂とファイバークロスを貼り重ねて、強度を持たせた修理を行います。
中の空気をコロコロと押し出しながら貼りましょう。
FRPが乾燥したらサンディング形成して仕上げのパテ処理へ。
この真ん中の画像を見て、あれ?っと思ったあなたはプロフェッショナル!
そうなんです、普通FRP製品ってゲルコート/FRP樹脂/ファイバークロスで作られているはずなんですが、
この製品は始めから全体的にパテがガッツリ入ってるんです。
まるでモックアップ(試作品)の如くの作り込みです。
赤く塗装された塗膜も下地として使うには信頼性に欠け、加えて総パテの仕上げが悪く
全体的に波打っているので、面出しとサンディングによる剥離を施します。
とーっても根気の要る作業。
ミラーもツルツルに仕上げる為にサンディング処理を施します。
下地塗装を行い乾燥室へ。
さすがにパンパンです。でもこれで全部じゃありません。。
下地塗料が乾いたら更に細かい修正を施し仕上げのサフェーサーを塗ります。
下地の最終研磨処理を施せば、次はいよいよ本塗りです。
それにしても一つ一つのパーツが大きい!!
手間の掛かるペイント色もなんとか塗り終え乾燥へ。
部品数が多いので回数を分けて塗装、これで約半分です。
今回唯一遊ばせてもらったのがこのスクリーン加工&塗り分けペイント。
本来ノーマルスクリーンをボディと同色のイエローでとのオーダーでしたが、
せっかくならもう少しオリジナル性を出そうと、ひと手間加えて仕上げました。
イメージは戦闘機のキャノピーです(笑)
挑発的なその仕上がりにオーナーさんにも大好評でした。
仕上げの磨き作業。
全てのパーツを鏡面に。。。ひたすら磨け~~!
これだけの部品点数を鏡面に仕上げるのはただでさえ重労働なのに、
信号待ちで追突事故に遭った首には超ハードワーク、誰か代わって~。。
さすがにこの時ばかりは泣けました。頭って重いのね。頑張ったぞ 俺!(褒)
魂を込めた磨きの仕上がり。いかがでしょう?
ガソリンタンクは製造過程上のセンタープレスラインも板金処理してあるので、
写りこむ景色に不自然な歪みはありません。
一つひとつのパーツが大きい上にこの部品点数。しかもコート数の多いペイント色に総鏡面仕上げ!
ここまで仕上げるのにもの凄い時間と手間が掛かっています。
ガソリンタンクのヘコミやパニアケースの損傷もこの通り。
各パーツの裏側は半艶消しブラック仕上げです。
組み上がった勇士を早速見せに来てくれました。
凄いインパクトだぁ!ただでさえ大きい隼がイエローのペイント効果でさらに大きく見えます。
一般的に、明るい色でペイントした場合は大きく、暗い色でペイントした場合は小さく引き締まって見えます。
こういった色の特性を考慮してペイント色を決めるのも良いと思います。
このままソルトレイクに持ち込んでも通用しそうなオーラを放ってます。さすがスピード・キング!
【追記】
両サイドのパニアケースで相当の積載量を誇っていたハヤブサでしたが、
更にリアボックスを装着することに。スーパーボリューム!!
もともと無塗装のシボ表面樹脂製品なので、他の外装と質感を揃える為の下地処理や
密着性を高める下地処理を施した後に、例のイエローでペイントです。
リフレクター部のメーカープレートは、新たにアルミ板を切り出しヘアラインとエッジングで
隼ロゴを入れたプレートを作って貼り付けてみました。この辺は遊び心です
世界最速のツーリング仕様、長距離ライドで真価を発揮しそうですね。